大分県商工観光労働部雇用労働政策課が発行する「おおいた働き方改革優良事例集」に掲載された小野浩信氏(公月測量設計(株) 代表取締役・日田支部)にお話を伺いました。
◆◇◆◇ ポイント ◆◇◆◇
①九州北部豪雨の災害がきっかけとなり、働き方改革を進める。
②中途採用を諦め、高校生の新卒採用に方針転換。
③衛星データと測量技術を組み合わせて、付加価値の高いビジネスに挑戦。
仕事内容を教えてください。
主に県西部において道路や河川の測量、建設コンサルタントをしています。玖珠郡内には同業者がいません。災害が発生した時、地元に業者がいないと迅速に災害復旧ができないので、それだけに会社を継続させる事が大切な使命だと考えます。
働き方改革に取組み始めたきっかけを教えてください。
災害対応は時間との闘いです。2012年の九州北部豪雨災害当時、平均年齢50歳を超える状況でした。社員には負担が大きく、働き方改革の必要性を感じるようになりました。
どのような取組みをされたのですか?
これまでは男性社員が現場作業から戻って内業(CAD、書類作成等)をしていましたが、女性を採用し、外業と内業を分担する事で業務効率化を進め残業時間を減らすことができました。長く働き続けて欲しいので、子育て中の人には家事と仕事が両立できるように短時間勤務のパートから始めてもらいました。いずれは正社員になってもらいたいと思ています。より女性が働きやすい環境を整えていきたいです。
また、勤怠管理システムを導入し、タイムカードを自動集計化し残業時間も各自が毎日把握できるようにしました。Kintoneも導入し業務の見える化を行い、コスト意識も高まっています。レーザードローンや3Dスキャナ等の新しい技術も活用し、現場作業の大幅な時間短縮が可能となりました。
仕事がら測量士や技術士等の資格が必要になりますが、土木系大学の新卒採用や中途採用は地方ほど難しい為、2021年度から地元高校生を新卒採用し一から育てる方針に方向転換しました。
昨年入社した新入社員は、給与を支給しながら一年間、測量の専門学校へ通い、測量士補の資格を取得しました。平日は専門学校で学び、夏休みなどの長期休暇の時は、会社で勤務してもらいます。卒業後実務経験3年で測量士となることができます。今春にも2名が入社して、同じように専門学校で学んでいますし、来春にも2名採用する予定です。おかげ様で今年厚生労働省より“ユースエール認定”もいただきました。
今の課題はなんですか?
今の社屋は増築を繰り返した為、部署ごとに分かれており、社員間でのコミュニケーションがとりづらい事です。今年は創業40周年になることもあり、新社屋を建設します。技術職を一つのフロアにまとめ、コミュニケーションを取りやすくします。また、災害時に停電で仕事ができないと困るので、太陽光パネルの電力を蓄電池に蓄え自社の電力を全てまかなえるようにするつもりです。
今後の展望・目標をお聞かせください。
これからは人口減少により公共インフラをいかに維持管理するかが重要となります。今後は保守・点検業務にも注力していく必要があります。その為に社員一丸となって必要となる資格を取得し、地域になくてはならない会社になりたいです。
また、一般社団法人おおいたスペースフューチャーセンターの法人会員でもあります。衛星データを活用すると、例えば田んぼの土壌データや適正な刈り取り時期の予測等様々なデータを取得・活用する事ができます。衛星データに測量技術を組み合わせて、付加価値の高い地域ならではのサービスを提供できるのではないかと考えています。
これからも、地域に貢献する為、測量・建設コンサルタントを主体とし、新たな分野へ積極的にチャレンジする企業を目指し頑張って参ります。
会社名:公月測量設計株式会社
会員名:代表取締役 小野浩信氏
業 種:専門・技術サービス業
設 立:1982年1月
事業内容:測量、建設コンサルタント
社員数:42名(うちパート・アルバイト等5名)
住 所:玖珠郡玖珠町塚脇163-8
電 話:0973-72-0470 ※2022年6月時
「おおいた働き方改革」共同宣言2021 ~誰もが意欲と能力に応じていきいきと活躍できる大分県を目指して~ 人口減少が進展する中、本県産業の維持・発展のためには、優秀な人材の確保や育成が必要であり、女性、若者、高齢者、障がい者など、多様な人材がそれぞれのライフステージに応じて社会参画でき、県民誰もが意欲と能力に応じていきいきと活躍できる社会づくりを進めることが重要です。 そのためには、長時間労働の是正、年次有給休暇の取得促進や、子育て・介護の両立のための男性の育児・介護休業の取得の促進のほか、テレワークなどの時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の導入などにより、多様な人材が働きやすい職場環境整備を進め、労働生産性の向上につながる「働き方改革」に取り組むことが必要です。 令和3年10月7日 大分県働き方改革推進会議 |