■会社の紹介、同友会の入会のきっかけ
故郷に恩返し
2022年2月原社長は曾祖母、祖母と受け継がれてきた、(有) 中津清潔社と(有) 寿浄化槽センターの事業を承継しました。中津清潔社はし尿処理、寿浄化槽センターは浄化槽の清掃・保守点検等を手掛ける廃棄物処理業者です。
当時、会社員だった原社長は、祖母から跡継ぎの相談を受けた際、一度は断ったものの「高齢の祖母に万が一の事があると、会社が存続できなくなる。地域のインフラを止めないため、社員の生活を守るためにも、自分が家業を継ぐしかない」と悩んだ末に決断されました。
しかし故郷に帰ってきたものの、どうやって経営のノウハウを学んでいけば良いのかと途方に暮れていた時に、子どもの頃からお世話になっていた原田支部長、鎧坂前支部長に声をかけていただき同友会に入会しました。例会に参加する度に、経営者としての未熟さや実力不足を痛感し、その悔しさを原動力に、同友会での学びをひたすら実践に落とし込み続けてきたと語られていました。
■(株)なかつ空き家管理サポートについて
放置された家をなくす
2023年10月地域の放置空き家問題を解決する新会社「(株) なかつ空き家管理サポート」を設立しました。この事業は「100年先も地域から必要とされ、愛され続ける会社になる」という志を、社員と共有していく中で生まれたとのことです。また放置空き家が社会問題となる中、空家等特別措置法が改正され、管理不全空き家に指定されると固定資産税が最大6倍になる事が決まったのも後押しとなったようです。
創業に先立ち、県のアトツギ向け伴走支援プログラムGUSH!に参加し、先輩経営者や新規事業開発の専門家のアドバイスを受け、自治体にも相談をしながら新事業の立ち上げ準備を進めていったそうです。
また社員全員に正しい知識と技術を身に付けて欲しいという想いから、福岡で遺品整理を行う専門業者に弟子入りし、ハウスクリーニングや特殊清掃、ゴミ屋敷清掃の腕を磨くとともに、関連資格の取得にも努めています。なおこの事業には、社内副業制度としての側面もあり、社員のスキルアップと所得向上を同時に実現する場としても活用されています。
■コロナ時会社の売上など困ったことについて
人材確保が会社の安定
原社長は、コロナ禍の真っ只中に事業承継を行いましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、深刻な人手不足に直面したようです。
「私たちはエッセンシャルワーカーなので、人手が足りないからといって、日々の業務を止める事は出来ません。常に感染リスクと隣り合わせでした」と当時の心境を明かしました。
コロナ禍は企業にとっては大きな試練でしたが、今はその教訓を活かし、人材確保や定着に向けた取り組みを積極的に行っているようです。また世間からの「汚い仕事」という偏見による働きづらさを解消するため、SNSによる情報発信にも努めています。その成果は採用実績にも表れており、SNS開設後に応募者は急増。12年ぶりとなる女性現場作業員の採用にも繋がっているとの事でした。
■原社長の考える未来について
百年先まで愛される企業
創業者である曾祖母から、女三代で受け継いできた会社は、今年で創業58年目を迎えます。
原社長は、この新規事業を足掛かりに、業界の偏見を払拭し、社員一人ひとりが誇りと自信を持って働ける企業文化を醸成していきたいと考えています。また先代から受け継いできた信用やサービス力、技術力といった、かけがえのない資産を守りつつ、新たな価値を付加することで、家業の持続的な成長と安心安全なまちづくりに貢献していきたいとのことです。
「今後も地域のライフライン事業者として、社員一丸となって使命感、責任感を持って仕事に励みたい。そして空き家問題など社会問題の解決にも取り組みながら、地域を支える会社として成長したい」と力強く語ってくれました。
《会社概要》
■所 在 地 中津市大字永添1150-1
■創 業 1966年
■社 員 数 20名
■業務内容 し尿汲み取り業、浄化槽の清掃、保守及び点検業務、産業廃棄物の収集、運搬、処理及び処分に関する事業 (グリストラップ清掃等、浚渫工事(側溝・暗渠池等)、配管高圧洗浄、泥土吸引処理
■U R L https://nakatu.biz/