活動報告
ACTIVITY-REPORT

県南支部
広報委員会
会員訪問 (株)鳥繁産業 代表取締役 鳥越繁一氏(県南支部会員)

■御社の沿革についてご説明ください。

 本年創業60周年の節目です。私が1964年11月生まれ、当社が1965年4月創業ですから、私と会社がちょうど半年の差で並走していますね。元来は丸京石灰という会社から派生した形になります。創業の契機は味海苔の普及です。味付けにより湿気を吸収しやすくなるため、乾燥剤がなければ保存ができない。そこで海苔製造業者から「乾燥剤の製造依頼」を受け、私の両親が手作業で開始したのが、鳥繫産業の起源です。

■社長就任までの経緯をお聞かせください。

 私が戻ってきたのが26歳の時です。その後約11年を経て、38歳で代表取締役に就任しました。父が70歳になり健康上の問題も生じたため承継の話になりました。就任後、最初の10年間は噴出する様々な課題に対応し、続く10年間で経営者不在でも機能する仕組みづくりに注力していきましたね。

■事業内容について教えてください。

 当初は丸京石灰の石灰を小袋化するところから始まりました。その後、食品の鮮度保持技術へと展開し「お菓子の健康診断」という商標も取得しました。今も昔も、お客様側の問題を解決するという理念は変わりません。自社商品を安く売るだけではなく、どうすれば顧客の製品が最後まで美味しく届くかを考える。装置、機械、原料、温度管理など様々な要素を繰り返し分析して、今は理想に近づける提案ができるようになってきました。

■採用や就労環境において工夫されている点はありますか。

 特に女性が多いので、子育てや介護との両立を考えています。4時間、7時間、正社員の7時間半勤務と、家庭環境に応じた形態があります。「多能工」の育成も重要で、社員が複数の機械を操作できるよう力量表をつけています。子どもが急に病気になったとき、電話一本もらえば他の社員が「私が対応できるから休んでいいよ」と言ってもらえる体制ができましたね。

■コロナ禍では面白い取り組みをされていたそうですね。

 当時、観光客が激減して苦しむ顧客、お菓子屋さんが全国にたくさんありました。賞味期限が迫る商品を廃棄せざるを得ない状況を見て、当社でもコロナで社員旅行に行けない中「行った気になろう!」と会社で購入することにしたのです。各地の商品を2か月に1回、社員に配って自宅で楽しんでもらい、その写真をお菓子屋さんに送りました。とても喜んでいただき、お礼の手紙を多数頂戴しました。

■今後の展望についてお聞かせください。

 海外展開と国内での技術継承の二本柱です。アジアは今、日本の高度経済期のような成長期。美味しさを届けるシステムのパッケージを伝えていきたいです。国内では後継者不足で途絶えそうな地方の菓子技術を何とか残す方法を模索しています。津久見市については、20代30代の若者が活躍できる場所をつくることが重要だと感じています。産業はあるのに夜になると人がいなくなる。若者がわいわいと暮らせる環境づくりに弊社も協力していきたいですね。

《会社概要》
■所 在  地 大分県津久見市上青江4180番地
■創  業 1965(昭和40)年 4月(創立60年)
■社 員  数 98名(パート含む)
■業務内容 鮮度保持剤(脱酸素剤、乾燥剤、保冷剤、アルコール揮散剤)の設計開発、製造
■U  R  L    https://www.torishige.co.jp/

《経営理念》
おいしさと安心を支えることで、人々の豊かなくらしを実現する。
全社員の成長と幸せを追求し、地域社会に貢献する。

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