働きがいや労働の人間化
7月23日(水)J:COMホルトホール大分で、2025年度中小企業魅力発信月間企画を開催しました。
黒瀬 直宏氏(NPO法人アジア中小企業協力機構 理事長)が「中小企業に未来社会の芽を見る」をテーマに報告しました。
中小企業庁では、中小企業基本法の公布・施行日である7月20日を「中小企業の日」、7月の1ヶ月間を「中小企業魅力発信月間」と定めています。
今回はその一環として、2025年度中小企業魅力発信月間企画を開催しました。
当日は、同友会会員をはじめ、行政機関、金融機関、地域支援団体など幅広い関係者が参加し、中小企業の可能性と社会的役割について学びと交流が深められました。この企画は「中小企業振興基本条例」の理念に基づき、中小企業を取り巻く環境や課題を共有し、地域社会に根差した企業活動の重要性と、その持続可能な発展の方向性について考える機会として位置づけられています。
冒頭では、大分同友会代表理事の塚崎伸一氏による開会挨拶の後、日田支部副支部長の東真吾氏による「県内の中小企業振興基本条例の取組状況」を報告していただきました。 日田市では年2回、行政を中心に同友会や商工会議所、金融機関などの有識者による「中小企業振興推進会議」が開かれ行政の事業計画に活かされているのですが、取組の成果が市民に伝わりにくく課題も抱えているようでした。
その後、基調講演として、特定非営利活動法人アジア中小企業協力機構理事長であり嘉悦大学元教授でもある黒瀬直宏氏が登壇。「中小企業に未来社会の芽を見る」と題し、現代資本主義が抱える課題に対して、中小企業が人間性に根ざした経営を通じて社会的変革の力を持っていることを論じました。講演では、イチゴ農家、介護用シューズメーカー、町工場などの事例が紹介され、これらの企業が顧客との精神的な信頼関係を築きながら、利潤だけを目的としない独自の価値を創造していることが強調されました。また、社員一人ひとりが主体的に経営に関わり、「構想と実行の再統一」を図る取り組みが、働きがいや労働の人間化につながっていることも印象的な論点として提示されました。
グループ討論では、「未来社会に向けて中小企業が芽を伸ばすために、どのような取り組みができるか」をテーマに、参加者が業種や立場を越えて意見を交わしました。それぞれのグループからは、地域との関係性を強化する重要性、従業員の意欲と創造性を引き出す職場づくりなど、実践的な視点を含む多くの提案が発表されました。