女性の視点で築く“フラットな社会”

株式会社藤花は、2021年に設立された企業で、女性専用グループホーム「ふくろうの家」と循環型を志向した「キクラゲ栽培事業」を二本柱として展開しています。代表を務める石丸さんは、看護師として医療や福祉の現場を経験し、「誰もが無理なく役割を果たせる社会をつくりたい」という思いで起業されました。
グループホーム「ふくろうの家」は定員5名で、現在4名が入居しています。利用者は障がいのある女性で、重度のため外出が難しい方もおられ、職員は見守りや生活支援を中心に24時間体制で寄り添っています。職員は石丸さんとご主人、パート2名の計4名です。石丸さんは、職員が疲弊せずに関われるように、8時間交代制を理想に掲げています。「一緒にいることだけが愛情ではない。距離を大切にすることで温かい関係を築けると思うのです」と語ってくださいました。

もう一つの柱であるキクラゲ栽培は、2023年6月の火災で栽培ハウスが全焼し、大きな打撃を受けました。採用予定だった3名の職員にも一時的に他の仕事に就いてもらうことになりましたが、奇跡的に一部の菌床が残り、再建に向けた希望につながりました。火災直後は大きなショックを受けたそうですが、同友会の仲間、特に日田支部のアエル流し台製作所の梶原さんから励ましを受け、「諦めない」という気持ちを取り戻されたとのことです。

石丸さんが掲げる理念は「フラットな社会」です。災害時の経験から、女性や障がい者、高齢者も役割を果たせる職場づくりの必要性を強く感じられたそうです。現在は同友会の障がい者問題委員会日田支部の委員長として、企業が障がい者の実習や雇用を受け入れる仕組みづくりを進められています。「一般企業が一人でも受け入れることでハードルは下がると思います」と強調されました。
また、近年増加している引きこもりの方々への支援にも関心を寄せておられます。80万~90万人ともいわれる人々が社会に出るきっかけをつくるためには、選択肢を広げることが重要だと考えていらっしゃいます。「誰もが自分に合った場所を選べる社会でなければ、今後は生き残っていけない」との言葉には強い覚悟を感じました。
石丸さんは、女性起業家の発表イベント「バタフライ」に参加し、ファイナリストに選ばれました。福祉と循環型社会への明確なビジョンが評価されました。国産キクラゲの普及や女性・障がい者が働ける場の創出など多彩な計画が示されました。「女性起業家という言葉が不要な社会を目指したい。誰もが挑戦できる空気をつくりたい」と語られています。
石丸さんは、「同友会をまだ知らない人がたくさんいるからこそ、もっと発信していく必要があります。必要とされる経営者にこそ、同友会の魅力を伝えていければ私みたいに助かる人はたくさんいます」
この言葉を聞き、私自身も強く共感しました。対外的な発信を強めることは、広報委員会の役割であると同時に、各支部における会員増強にもつながります。地域をより良くするために、同友会の存在意義を一人でも多くの経営者に伝えていくこと―それが、私たちの使命であると改めて感じました。

(株)藤花
《会社概要》
■所 在 地 日田市天瀬町赤岩411-1
■設 立 2021年
■社 員 数 4名(うちパート2名)
■業務内容 国産キクラゲ栽培・販売、女性用障がい者グループホーム