■承継の経緯を聞かせてください。
23歳でティーアイコーポレーションに入社して、社員として働いていましたが、自分が三十歳の時に父親が心臓を患って、一線を退かなきゃいけないとなったことがきっかけです。
■事業承継で苦労した点はありますか?
金融機関の付き合いとかもよくわからず、父から直接アドバイスをもらえるような状況じゃなかったです。引き継いだ次の年に亡くなったんで、会社の経営についてはあまり聞くこともありませんでした。
すごい大変だったのですが、同業者の協会にはいって、青年部でいろいろ教えてもらいました。同世代が多かったので横のつながりもできて、いろんなことをそこで学んだりしました。先輩の経営者さんたちもまだ多い世代だったので、そういう人から可愛がってもらいました。
■社内の状況と対応について
当初、計画とか事業計画とかいうのが全くなかったんです。自分の頭の中だけで、組み立てていました。父の片腕の人から、お前はやめろとか言われたり、社員から「社長が何を考えているか分からない」と、社員の反発を買う事もありました。
■新事業として有料老人ホーム「えん」を立上げられました。
40歳の時に起こした会社なんです。「え」でも同じようなことが起きていました。社内の人間関係です。社員さん同士の人間関係が混ん乱していましたがルールづくりで解決しました。
やっぱり一つひとつ、ルールづくりですよね。それぞれで言うことや、考えが違うっていうのは、なくしていかないといけません。教え方を標準化しておけば、どんな人が入ったとしても対応できるし、それは「えん」でも「ティーアイコーポレーション」でも一緒なんですね
■今後の展開
運輸業界は働き方改革で、労働時間が決まってきて、それ以上の働きができない状況にあります。対策として、今ダブルワークを推進しています。
私たちが持っている産業廃棄物の許可は、各都道府県ごとに必要になります。信頼を受ける企業同士で仕事を分け合うようなワークシェアリングが今もう結構当たり前になってきてます。
介護施設「えん」の方も、今後、高齢者の生活に関わること全てに関われるようになれば、需要が出てくると思います。介護施設も産業廃棄物処理も基本は困り事ですから、そこが両方やってる強みですね。ビジネスチャンスにつながる可能性もあると思います。
自費でもいいから、ちょっとお昼だけおじいちゃんを預かってくれるところはないかとか、誰でも受け入れができるというようなところがあれば、家族も預かってくれるところがあるという安心感は、ものすごくあると思います。
資源を奪い合う時代から、資源を分け合う時代になっていかないといけません。時代の変化に合わせて、経営環境の変化に合わせて、いろんなことを考えて、あとはタイミングを見て、それを具体的に進めていきます。
■大切にしている言葉
「打つ手は無限」父親がずっと言ってた言葉です。いい言葉だなあと思うんです。打つ手も、いろんな角度から物事を見て、自分で見積もり作る時も、自分の考えじゃなくて、相手にどうやったらメリットがあるのかとか、いろいろ勉強になりました。
地域のある百年企業は、家系を大事にしている。地域を大事にして、社員を大事にして、3代続いています。船舶の廃油回収をしているのはほぼ当社しかありません。きちんと事業を引き継いで百年企業を目指したいです。
○有限会社ティーアイコーポレーション
■創業:1995年 ■社員数:12名
■事業内容:産業廃棄物の収集運搬
■所在地:津久見市徳浦本町2-16
○株式会社えん
■創業:2014年 ■社員数: 39名
■事業内容:介護事業
■所在地:津久見市津久見1487−1
