お知らせ
NOTICE

広報委員会
大分県中小企業家同友会的広報のすゝめ/大分デバイステクノロジー株式会社 室原美慧氏

 


▲ インタビューおよび見学を行わせて頂いた第二工場

 

―まずは半導体について、特に御社が注力されているパワーデバイスというものについてご紹介ください。

電子機器の内部に、緑の基板があるのを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、その基板に乗っている単体もしくは複数の電子部品が半導体です。電子機器を最終的に製品として成り立たせるための細かい電子部品というイメージでよいかと思います。半導体にも各それぞれ得意分野や役割があるのですが、弊社の主力はパワーデバイスと言って、その名の通りモーター制御や、インバーターなどのパワーコントロールをおこなう電子部品ですね。

―なるほど。半導体といっても色々あるのですね。さて、昨今世界情勢の不安定化を受け、半導体が報道にあがることもありますが、現況を鑑みて見通しや展望などはありますか?

確かに部材が入ってこないなど影響はありますが、他社さんと調整し、慎重に見極めながら生産を行っています。将来的な展望でいうと、半導体はより環境に沿ったものになっていくと考えられます。これはすぐにみなさんが身近に感じられるものではないのですが、今後更にサスティナブルな部分を牽引していくことになります。弊社はその位置づけの一端を担えればと考えています。

▲ モジュール

 

―広報担当になる前から勉強会やセミナーに参加されていたとお聞きしました。なにか目的があったのですか?

上司の方から「世の中は自社だけではないよ」と聞き、たしかに世の中のことをもうちょっと知らなければならないなと思ったことが最初のきっかけで。まずはお金をかけずにいけるところから行ってみようと。そういう場ではいろんな方が来られていて、その人たちの話や考えを聞くと、世界が広がった感があり、それがとても嬉しかったですね。
ある日、会社に「おおいたIT人材塾」というチラシが届いていて、受けてみない?って言われたのですが、結局こっそり内緒で行ったのですよ(笑)。そこでは、いろんな会社から大分のITを真剣に考える人たちが集まっていて、チームを作って、あるテーマからの解決策をディスカッションするなんてことをするわけです。課題解決のために議論を交わす場というものに参加する機会がそれまであまりなかったので、インパクトに残りました。その後会社で成果報告会というイベントがあり、その中で実はこんなのに行っていたのですよとアピールしたところ、安部※も意欲的で向上心があると思ってくれたようで現在の流れに繋がった感じですね。広報担当に着任後も、上司が企業広報研究会っていうのがあるよと見つけてきてくれて。そちらは範囲が九州全域ということもあり、名だたる方々が名を連ねていて、行く前は本当に大丈夫かなぁとかなり心細くなりました。でもハイレベルな方々が実際に実践されていることを直接お伺いし、いい部分、知らなかった部分、自分も実践しているが間違ってはいないのだと確認できた部分、色々吸収することができたので本当によかったなと思います。
※ 代表取締役 安部征吾氏

―そのような流れから実際に広報担当として動かれることになった室原さんですが、昨年12月に行われた広報委員会主催のセミナーにご登壇された際、自身のことを「戦略的広報担当」ともおっしゃられていました。戦略的広報担当とはどういったものなのでしょう?

弊社の場合だと東京ビックサイトで行われる国内最大規模の半導体の展示会が一年に一度のビッグイベントであり、そこでの営業で一年間の仕事を取ってくると考えた場合、一人でも多く足を運んでもらい、そしてその方にどのようにアピールを行なうのか。例えばWEBと連動させるためランディングページを作成したり、印刷物の配布だったり、そういった戦略性が必要になる。ただ発信をばらまくだけでなく、会社の方針や利益を踏まえた上でコミュニケーションの場を展開していくところが戦略的広報の役割かと思います。

―最初に広報ツール、特にWEBサイトの問題点を洗い出されたとお聞きしました。当時のWEBサイトのイメージはどのようなものだったのでしょうか。

サイトを覗いたりするのは好きだったのでちらちら見ていたりはしました。ただイマイチ感はすでに感じていて、伝わりづらいなぁと印象に残っていました。それは安部も感じていたらしく、「戦略的にWEBサイトを使っていきたいのだけど、どこかサポートしてくれる協力会社さんいないかな」と言われて。じゃあ探してみますっていうのが始まりと記憶しています。

―室原さんがWEBサイトをみて「伝わりづらい」と感じた点はどこだったのでしょう?

鮮度がなかったです。社員さんの情報も、何年も前の情報載せていて違和感があって、読みながら「お客さんだったらこういう情報が欲しいだろうなぁ」というのを強く感じていました。現状の会社の方針により近い状態にするっていうのがなかったのでしょうね。今でこそ分かるのですが、事業戦略的に沿ってなかったのです。

―大分デバイステクノロジー(以下、ODT)さんの広報としてはステークホルダーの関係性強化が挙げられるかと思いますが、そのあたりについて詳しくお聞かせください。

弊社の場合、社員さん、取引先、採用などの求職者、あとは地域との繋がりが重要なステークホルダーになるかと思います。この中で社外に向けては、結構こなれてきて(笑)、十分に行えているのではないかなと思います。WEBサイトなども協力会社と連携して、自社カラーを統一し、地道に成果として繋がってきています。
今後、もっと注力が必要と感じているのは、採用ですね。世代交代を視野に入れながら、今の採用担当と連携して強化していきたいと考えています。「採用広報」という分野もありますので、個人的にはそこを追求していきたいなと。そして、採用広報の強化はきっと、地域との連携に繋がっていくと思うのです。ここ野津原はODTの創業地でもある大事な地です。新卒の方や、Uターンで地元大分に戻ってこられた方が、野津原で就職したいと思ってもらえる。広報を継続していけばきっとそうなると思ってやっています。今はコロナで難しいことも多いですが、地元貢献を真剣に考えていきたいですね。
次に進めていきたいのは、社内コミュニケーションの強化です。今もどうやったら社員さんにわかりやすく伝えられるのかというところを模索はしていますが、その一歩先、例えば社内報であれば単に発信するだけじゃなくて、自発的に読んでもらえるように、そしてそれを利用して社員間で活発なコミュニケーションが生まれるようなツールになるように整備していきたいなと。社員間が円滑に潤滑するために、広報はどうあるべきか、日々悩んでいます。

 

―今、室原さんが行なっている広報業務の一つとして、教育機関との連携がありますが、これはどのような狙いがあるのでしょう。

ストレートに言うと専門性の高い方を獲得したいという目的があります。そのような想いの中、大分県LSIクラスターという弊社も参画させて頂いているネットワークで、企業や学校(編者注:大分工業高等専門学校)で共同研究を行いましょうという補助事業がありました。去年、弊社が採択され、じゃあ何やりましょうかという機会を頂けたことも相まって学校、学生さんとの繋がりが太くなっていきました。今年も研究は継続されることが決定していて、その研究自体も弊社としてできない実験をやっていただいているので、データとしてはとてもありがたい。実際のところ学生さんが弊社にきてくれるかどうかは別として、先生たちとのコミュニケーションの場が持てたということは、動向が把握できるということですから、将来的な獲得に向けてというところはすごいよかったと思っています。

―生徒さんたちの反応はいかがですか?

一緒に携わった学生さんとお話しさせてもらう機会があったのですが、今時らしい子で、恥ずかしながらも「大丈夫です」って(笑)。本人は県外で就職希望らしいのですが、ただ喜んでくれてるっていうのは伝わってきました。大分高専さんでは、ODT以外にもいろんな企業さんとこのような取り組みを行っていますが、今回のように弊社WEBサイトと連動して形になっているというところを大変評価して頂いたようで、大分高専さんのWEBサイトからもリンクを掲載して頂けたり、本当に喜んでくださってるんだなというのは感じます。

―広報業務を強化したことによって、自社内の反応はいかがでしたか?

社内向けの広報の目的として、社員さんの顔を出していきたいというところがあるので、極力イベントがあったときは、関係する社員も含めて逃さず掲載するように意識はしています。ただ、露出が苦手な方はいて、そこを考慮しながらっていうのはありますね。そこに関してはただただ「出てよ」と連呼するだけではなく、掲載の重要性を、社員の気持ちのラインにあわせて問いかけるよう心がけています。

―それでみなさん出てくれますか?

わたしのキャラもあると思うんですが(笑)、「室ちゃんが言うなら」という雰囲気を体感的に感じていて、とてもありがたく思っています。

 

―ODTさんでは広報とブランディングを大事にしていることがこれまでのインタビューでもわかります。室原さんが考える、広報とブランディングとは何でしょう?

うーん、難しい質問ですね(笑)。熟語的に言うと広報って即効性かなと。ブランディングは醸成を必要として、準備が必要なものだと思っています。ブランディングの形成には、信頼性や信用が裏打ちとして必要であると思っていて、それは先輩や上司が積み重ねてきた業績や実績になると思います。広報はあくまでもツールとしての即効性を求めるものなので、広報的な即効性を積み重ねながら醸成を求めていく、そんなイメージを持っています。

―実際のところ、中小企業に広報やブランディングって必要と思いますか?

個人的には中小企業だからこそ必要だと強く感じます。ただ実際のところ、会社の状況や理解が必要なのでしょうね。弊社の場合は安部が「やろう」と思ってくれていたのでマッチングしたと思うのですが、工数の部分で言うと大企業に比べ、かけられる人数の制限もある。私ですら広報は割合的に8ぐらいで、その他の業務対応もあります。もちろん実際に動くとなると会社の業務、体制、方針を人一倍しっかり理解しておかなければならない。そういった意味で楽しい部分もあるけれど非常にハードです。もうひとり自分が欲しいなと思うぐらい(笑)。そういった実情を踏まえて経営者の方がそこにどれだけのウエイトをかけるのか、また大切であると思ってくれているのか、そこが重要だと思います。

―室原さんやODTさんの方で、今後の広報の目標はありますか?

採用の強化と社員との関係強化ですね。もちろん、良好な関係性を築くには長期的に考えないといけないので、トライアンドエラー、またPDCAを回しながら、会社の経営、事業的な部分を注視しながら、堅実に行っていくつもりです。

―最後に室原様が体感した「伝える」ことの難しさ、楽しさを教えてください。

結果が目に見えないので、解がないところを模索するジレンマがありますね。会社や経営者の気持ちや熱量を汲みながら、会社と社員さんを繋ぐ、気持ちのインテグレーターというところが広報の重要な役割だと思うのですが、ギャップがあると回らないですよね。そう考えると継続的、自発的な勉強もやっぱり必要で。正直「これでいいのかな?」と毎日思いながらやってます(笑)。なので、安部や上司などが「いいね」と言ってくれると安心もします。そう考えると、やっぱり褒められた瞬間が一番うれしいかもしれないですね。上司もみんなもよくできてたねって言ってくれるので。それだけで達成感はあります。まあ、裏は大変なんだよって思うことはたくさんありますが(笑)。

ありがとうございました。


▲ ドローンから望む第三工場

 

一覧に戻る